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人を包み込み、心の風景を映し出し、人と人とのつながりへの道をひらいてくれるような、そんな空間の在りように深く心を動かされます。
たとえば、柔らかなひかりが差し込み、形と素材が言葉を使わずに語りかけてくるとき、私たちはふと感じたり、思い出したり、帰属する感覚を取り戻したりします。
そのような空間のなかで流れる時間や記憶に、自然と心を澄ませたくなることがあります。そこには、宿る思い出や育まれてきた関係性、変わりゆく世界の中で人の足元を支える確かな感覚が息づいています。
私にとって、デザインとは共に歩む旅のようなものです。
信頼と対話、そして相互の敬意のもと、ゆっくりと形を紡いでいくものだと感じています。
人の存在に深く寄り添い、物語にひらかれ、意味が息づくような空間をそっと生み出せたらと願っています。
彼らが育んできた文化や世界観は、風土に根ざしていて、私にとってはこころをそっと整えてくれるような存在です。
たとえば、波打ち際。
私たち一人ひとりには、「マウリ」 という命のエネルギーがあり、それは潮のように日々ゆるやかに変化していきます。
マオリの世界では、潮のリズムは私たちの内なる感情や直感 「カレ・ア・ロト」 を映すものとされ、夢やビジョン「モエモエア」 もそこに含まれます。
海はその流れに抗わず、ただあるがままに動きながら、手放しや癒しの空間 「ファカワー テア」 を与えてくれます。
波打ち際に立つとき、そのままでいいよ、と静かに語りかけられているような気がするのです。