その結果、目の前にあった豊かさを見落としてしまうことがあるのです。
あふれるイメージや印象の中で、その背後にある物語を、私はしばしば見過ごしてしまいます。
だからこそ、『気づく』という瞬間は、こんなにも心を揺らすのだと感じるのです。
昨夜、フランシスケレの講演を聞きに行きました。
あの時間は、本当に贅沢でした。
ケレのものづくりは、土地と人へのまっすぐな応答そのものです。
そこにあるものをどう生かすのか、そこに暮らす人たちとどうつながるのか。
その問いかけは、彼自身が手を動かし、人と一緒に『つくってきた』経験から生まれたもので、その姿勢は驚くほど確かな形となって現れていました。
彼の言葉のひとつひとつには、真実味が宿っていました。その言葉は、彼の目の奥に灯る光によって、さらに深く照らされていたのです。